多趣味な父と遊ぶ中で身についた独自の哲学と
尊敬できる師匠から学んだ職人としての志

志村弦さん(31)
 職業:家具職人
出身地:函館
現住所:函館
 函館→札幌→函館

 
 
小学校の頃から図工の授業が大好きだったという志村弦さん。有斗高校を卒業後は、家具職人を目指して札幌の専門学校へ進学するも、授業の内容に疑問を抱き、わずか1年で退学。実際に家具を作る仕事に就き、イチから職人としての技術や心得を学びました。現在は函館に戻り、念願の家具職人として働く一方、2児の父として子育てにも奮闘中。「嫌だという理由で物事を辞めない」や「子育ては親に頼らない」など、独自の信念を貫く志村さんに、函館での仕事や育児の環境について伺いました。

 
取材・文章:阿部 光平、撮影:妹尾 佳、イラスト:阿部 麻美 公開日:2015年11月13日

 
 

 
 
 
 
 

父と息子と『函館Jeepクラブ』

 
━━今は家具の職人さんをされているということなんですが、まずは幼少期のお話を聞かせてください。生まれた時はどの辺りに住んでいたか覚えていますか?
志村:生まれたのは函館市美原町ですね、イトーヨーカドーの向かいのアパートに住んでました。今はもうないんですけど。
 
━━お、近い! 僕も生まれた時は美原に住んでたんですよ。
志村:もしかして、あおい幼稚園ですか? 僕は、あおい幼稚園だったんですよ。赤川の方に行く途中の、右側に入ったとこなんですけど。
 
━━僕はひかり幼稚園というとこでした。でも、幼い頃に、すれ違ってる可能性はありますね(笑)。小学校はどちらですか?
志村:幼稚園の途中で引っ越したので、小学校は東山小学校に通いました。
 
━━当時の思い出として強く記憶に残っていることなどはありますか?
志村:バスケットボールクラブですね。そこまで一生懸命やってたわけではないんですけど。卒業するまではバスケをやってました。
 
━━バスケを始めたきっかけは、ご兄弟や友達からの影響ですか?
志村:いや、完全にスラムダンクの影響ですね(笑)。もう、それだけです(笑)。
 
━━世代ですもんね(笑)。スラムダンクで好きなキャラクターとかいました?
志村:自分は背が低かったんで、宮城リョータですね。ポジションも一応ガードでした。あんまり上手くなかったんで、かっこいいことは言えないですけど(笑)。

 

 

 

 

━━小学校の頃、バスケ以外にも夢中になったことはありますか?
志村:友達と遊ぶのも好きだったんですけど、父さんの趣味がなんかいろいろありすぎて、そっちのほうに一緒について行くことが多かったですね。うちの父さん、ハンターなんですよ(笑)。
 
━━えっ!? ハンター? それって猟師さんってことですか?
志村:いや、仕事はクレーンの運転手なんですけど。大型クレーンとか、大型重機を動かすような。趣味でハンターをやってるんですよね。毎週日曜日、朝3時とか4時くらいに起きて、車で山に行って、日が昇る前からハンティングのスタンバイするみたいな。
 
━━それって、動物を撃つってことですよね?
志村:そうですね。撃って、捌いて、家に帰って食べてました。
 
━━えー、すごい! ちなみに何を獲ってたんですか?
志村:昔、僕が一緒に行ってた頃はカモとか鳥系で、今は鹿撃ちばっかり行ってるみたいですね。
 
━━それ、函館の話ですよね?
志村:八雲とかが多いみたいです。ポイントはいろいろあるみたいですけど。もう70前なんですけど、まだ元気にやってます(笑)。
 
━━なんか冷静に考えるといかにも北海道っぽい話ですけど、そんな人、函館では会ったことないです(笑)。お父さんが多趣味とのことですが、他にはどんな趣味が?
志村:父がジープ好きの人を集めて、『函館Jeepクラブ』という団体を作っていて、そのメンバーで山に遊びに行ったり、キャンプとかに行ってました。あとは、その仲間でアイスホッケーのチームを作ったりとか。
 
━━ジープでキャンプというのはわかるんですが、アイスホッケーというのは唐突な感じがするような…。
志村:仲間とのノリで「やっちゃうか!」みたいになったんだと思います(笑)。ボーリングとかも、『函館Jeepクラブ』でチームを作ってやったりしてましたね。
 
━━すごい行動力! 今だったらSNSなどを使って「ジープ好き集まれ!」みたいな感じで人を集めることもできると思うんですけど、そもそもはどうやって集まった団体なのでしょう?
志村:もともとはうちの父さんと、今の会長さんが2人共ジープが好きで始めたらしんですよ。多分、40年前くらいって言ってたかな。一番多い時にはメンバーも150人くらいいたみたいです。
 
━━150人!? 函館にそんなに多くのジープ好きがいたんですか!
志村:どこかから依頼を受けて、みんなでジープを出して函館港まつりにも参加してましたよ。それ見に行ったのは、よく覚えていますね。
 
━━じゃあ、キャンプとかもかなり大掛かりな感じですか?
志村:僕が行ってた頃は、人もだんだん少なくなってて、それでも10人くらいはいたかな。キャンプも主に雪中キャンプとかで、夏にはあんまり行かないんですよ。虫がいるからって(笑)。
冬とか、秋とか、人があんまりアウトドアとかしない寒い時期に、キャンプ場じゃなく山の中に入って行って、雪掘って、かまくらみたいなのを作って、そん中にテント立てるみたいなキャンプをしてました。
 
━━そっちの方が虫よりずっと大変じゃないですか(笑)?
志村:そうなんですよね(笑)。でも、僕にとってはそういう体験が本当に新鮮で、すごく面白かったです。
 
━━子どもには堪らないでしょうね! 『函館Jeepクラブ』は今もあるんですか?
志村:今は、なくなりかけてきてますね。やっぱ父さんの世代が年ってのものあって、あんまり遊びもできなくなってきてるので。だけど、少なくとも自分は引き継ぎたいなって気持ちはあります。一応、ランクルに乗ってるので(笑)。

 
 
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